とある方の曲を書いていた。スタジオに入っていた。ギターを弾いていた。歌詞は言葉をもらっていた。歌詞、という形にはまだしていなかったけど、紛れもなく、感情が、あった。缶コーヒーを自販機で買った。フィナンシェをかじった。
夜は雨が降っている。いつもはアルバムを作ると、いってらっしゃい、という感じになるけど、今回は、違う。どうにもこうにも、言葉が混じってしまった。いつもはマスタリングという最終工程を終えると、歌を一回葬る感じになるのだが、今回は、ない。だがそれは逆に言えば、自分にとっては新しい経験で、わるくない。
とにかく長いツアーに出ようと思った。歌を引き連れていくのだ。この歌たちを見捨てるわけにはいかない。私は勇気をもらった。歌を作ることで、勇気をもらったのだ。
アルバムをCDだけで出すのは、全くもって前時代的だったと、反省しているが、こんなにも沢山の方が買ってくれた、その一人一人を思うと、強く励まされた。そのお金を握りしめて、また旅に出る。
久しぶりの長い雨で、少し落ち着いた。
ギターの音。雨の音。
またライブで合いましょう。
2022.4.21