2022.9.11
忘れられない夜になった
忘れてしまうのだろうけど
こんな夜があるなら
長生きしたいと思った
あっさりそれぞれ次の旅へ
来週は東北へ
再来週は九州へ
作業場を一気に片付け
録音できる環境を整え
まだ蒸し暑さは少し残るが
氷の溶けたアイスコーヒー
最後の蝉
ギャロの映画みたいな
正確にはギャロの音楽みたいな
映画を見ているような
風景だった
向井さんのテレキャス
JCアンプから鳴らされる
テレキャスターの音が
甘く夜を濡らした
夜の街道は田舎道
向いにはラブホテル
街中ではなく
この街道沿いのライブハウスが
熱を帯びた時間
虫も草も何事かと思っただろう
月もよく輝いていた
何を話したかは忘れてしまった
次の日は松坂で競輪
万車券
松坂で服を買い
古びた眼鏡屋で古いメガネを買い
50年つづいた眼鏡屋のおじいさん
もう店仕舞いしようかと思うんです
だけどやめたらボケてしまうかもしれないから
お客さんと話してた方が
でも久しぶりのお客さんで
緊張します
とおじいさん
私はいいのが買えました
と買ったばかりのメガネをかけ
自転車で海へと向かった