MAENO KENTA

LIFE

ライフ

歌会

坂口くんから呼んでもらって、
展覧会の会場でライブ。
熊本市現代美術館。
すごい、すごい、とつぶやきながら、
絵を見させてもらった。
展覧会会場で描いたあたらしい絵が、
一番よかった。
まだ額装されていない絵。
色が、空の色が、
何色というのだろう、
自然を超えていくというか、
人工の色なんだけど、
人間の色、
人間は色を生むことができる、
という当たり前のことを思って、
ハッとした。

久しぶりに会って、
すぐサウンドチェック。
音を出し合って、
エレキ借りて弾いて、
それに坂口くんがサックスで入ってきて、
これがたまらなかった。

譜面台がない、と気づいて、
彼のアトリエ、スタジオに一緒に取りに行った。
CDのジャケ中写真で見ていた畑スタジオ。
アップライトのピアノがめちゃくちゃいい音。
いい空気が流れていた。

会場に戻ってさあライブ、
となって、譜面台を忘れていることに気づく。
取りに行ったのに。

ライブ、というか歌会。
彼が「歌会」と名付けたかった理由が、
よくわかった。
もちろん練習はしていったけど、
歌の方ももう少し自然な状態で、
扱って、と思うときもあるだろう。
歌が生まれた時に降り注いでいた、
光のあたたかさというか。
朗らかさというか。

別れ際、また来年ね、
と坂口くんは言った。
こういうのはむずかしいね。
よくわからない。
でも、なんとなくは、わかる。

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